天真爛漫な子供の魅力は表情豊かな光によって最大限に引き出される
2015.07.31
写真は場所、時間、温度など、あらゆる情報を半永久的に保持します。あっという間に大きくなる子供の成長を記録するには必要不可欠なツールです。予測不能に動き回る子供に、同じく予測不能な光が交わると、面白いほどに相互作用が生まれます。
子供が生まれると自然と子供の成長を記録するために、写真を撮る機会が多くなります。かくいう私も出産前は子供写真の撮影なんてほとんどしなかったのに、いざ生まれたらまあ撮ること撮ること。いつでも手軽にスマートフォンで、そしてどこに行くにもカメラを手にしてしまいます。
思い出のスナップも大切だし、子供が見せる一瞬の表情を捉えるのも好き。でも個人的には雰囲気のあるストーリーを感じられるような写真がいちばん好きです。とはいっても、ひとときもじっとしていない子供を撮るときは特に、セッティングにこだわっていられません。そんなときに少し意識を向けてほしいのが「日常のあかり」です。部屋に差し込む自然光から、お部屋のライトまで、私たちが毎日目にしている全てのあかりは、子供の魅力を最大限に引き出してくれるのです。
絶妙なバランスで光が入ると、写真はもちろん素敵になります。それが例え偶然の産物だったとしても、最初はかまわないのです
写真は英語で「フォトグラフ(photograph)」、直訳すると「光の図」や「光の絵」など、光で絵を描くという意味になります。「光を制する者は写真を制する」なんて、写真家の大先輩に言われていました。どんな写真でも光のちからは大きいのですが、ここでは子供の写真にスポットを当ててみたいと思います。順光や斜光など、専門的な言葉は色々ありますが、今は置いておきますね。
「子供」と「光」、これがバランスよく画面に写り込むと感動的な写真が撮れます。最初はそれが偶然の産物でもかまわないのです。光に目を向けると、子供の様々な表情を見ることができるようになります。晴れていても、雨が降っていても、どんな場所でも。たとえピントが合っていなくても、歪んでいても、それを逆手に素敵な写真は撮れます。「日常のあかり」といえば、まずは家の中にある光。もっとも使いやすいのは窓から差し込む陽の光ではないでしょうか。子供の魅力を簡単に引き出せるのがこの光です。
窓からのひかりは子供をふんわりと包み込みこみます。髪の毛1本1本がきらきらと光って見え、なんだか幻想的ですよね。光を後ろにうけると逆光で暗くなってしまうと思われがちですが、最近は良い性能のカメラが多く、自動で「露出補正」してくれるものがほとんどです。本当便利な世の中になりました。
ほかにも窓辺で撮るメリットはたくさんあります。年齢にもよりますが、子供はカーテンが大好きです。カメラを片手に「いないいないばあ!」をすると、光に包まれた大きな笑顔が撮れることも。カーテンは子供の興味を引くほかに、光の強弱を調整することができるのもいいところです。半分だけ引いてみたり、素材の薄いものだけ閉めてみたり。カメラを覗きながらその時々の光の表情を楽しみながら、ぜひ窓辺で一枚撮ってみてください。
外からの日差しが強く、写真を撮りにくいなと感じても、まずはシャッターを押してみる。強い光に照らされてできる柔らかい輪郭のシルエットは、なんとも言えない雰囲気をつくりだしてくれます。たとえ光が強すぎて表情が見えなくても、不思議とストーリーを感じる写真になります。
太陽のある昼間のほうが写真を簡単に撮影できますが、夕暮れ時や夜もなかなか捨てがたいと思っています。うす暗いお部屋の中にある間接照明は、写真を素敵に仕上げてくれます。
とくに子供の寝顔を撮りたい時は、フラッシュの光では空気感までは残せません。何よりせっかく寝かせたのに、起きちゃったら困りますからね。ドアやカーテンをほんの少し開けて、廊下や外のあかりをそっと入れてみるのも面白いです。子供が光に顔を向けている一瞬をうまく切り取れたら、とってもドラマチックな絵になると思います。また、ベッドルームのスタンドライトをそっと顔に近づけ、寝息にゆれるまつげにピントを合わせてみてはいかがでしょうか。やわらかい、暖色のあかりに包まれた天使のような寝顔は、子育ての大いなる癒しでもありますからね。
光が象徴する「未来」や「希望」のイメージは暗い空間でこそ強調されます
教育的な如何はさておき、暗い部屋での家電のあかりと子供は、とてもメッセージ性の強い写真になります。冷蔵庫のあかり、ゲーム機のあかり、デジタル時計のあかり。小学生くらいになると、友達同士でテレビやパソコンの液晶を覗き込んでいる様子を目にする機会が増えると思います。そんなときには液晶の光が反射している顔を捉えるだけで、子供たちの溢れ出す好奇心を簡単に表現することができます。光が象徴する「未来」や「希望」のイメージは暗い空間でこそ強調されるのです。