「流れ星を見たら、願いごとをするとかなう」ーー。子供のころ、そんなふうに言われて天体観測をしたことはないでしょうか。そんな流れ星が大量に降り落ちてくるのが、流星群です。ペルセウス座流星群は毎年この時期に見られることから、夏の夜空の風物詩とも言われています。肉眼で観察しやすいので、初心者にもおすすめです。今年は8月12日夜から14日未明がピーク。今年は14日が新月なので、月明かりに邪魔されず、きれいな流れ星を楽しめます。

観察のコツをご紹介します。望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。肉眼で観察しましょう。時間帯は夜中から明け方が見やすいです。

原っぱに寝っ転がって流れ星を観測してください。街灯のない暗い場所へ。暗さに目が慣れるまでは15〜20分ほど。

・夜空の広い範囲を見渡せる場所で観察してください。何もない原っぱに寝転がるのがおすすめです。
・街灯が視界にない、暗い場所で観察してください。都市部では都市の明るさが邪魔になるので、山間部などなるべく都市から離れた場所がよいでしょう。
・暗い屋外に出て、暗さに目が慣れるまで15〜20分ほどかかります。その間は見えづらいかもしれませんが、辛抱強く夜空を見つめましょう。

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(c)TODA&OAO/NAOJ

流星群といえば「しし座流星群」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。1990年代後半から2000年代前半に活発な活動を見せたしし座流星群、私も高校の部活動・大学のサークル活動の一環として観測に行きました。特に2002年には、数えるのをあきらめるくらいたくさんの流れ星を小淵沢(山梨県)で見ることができました。寝袋に入ってじっくり眺めた流星雨の夜は、最高のひとときでした。

今年のペルセウス座流星群は、最も活発な時間帯に暗い場所で観察すれば、1時間で30個くらいの流れ星を観ることもできるかもしれません。ぜひ、たくさん願いごとをしてみてください。

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(C)国立天文台

さて、この流れ星、実は正体は直径が数ミリメートルから数センチメートルほどの小さなチリの粒です。宇宙空間にあるこの砂粒が地球の大気に飛び込んできて、大気やチリの粒の成分が光を放つことで、あたかも星が流れているように見えるというわけです。

このチリの粒を常に放出しているのが、彗星です。そのため、彗星が宇宙空間を移動する軌道上には、チリの粒がたくさん集まっています。この彗星の軌道と地球の軌道が交わっていると、地球がその交点にやってきたとき、チリの粒はまとめて地球の大気に飛び込んできます。そこで、毎年決まった時期に流星群が見えるのです。

流れ星は、宇宙空間のチリが地球に突っ込んで光る現象です。地上まで落ちてくると隕石と呼ばれます。

「チリ」と言っても馬鹿にするなかれ。このチリから生命の起源がわかるかもしれないと研究が進んでいます。流れ星の正体は小さなチリの粒ですが、これがもっと大きくて大気圏を突き抜けて地上まで落ちてくると隕石と呼ばれます。流れ星は消えてしまいますが、隕石なら物質が残っているので、これを調べることで、宇宙で生命が誕生した起源がわかるかもしれないと期待されています。

流れ星の光を詳しく分析してチリの成分を調べるという研究はすでに行われていますし、国際宇宙ステーションで地球に降り注ぐ前のチリを収集して成分を調べるという計画もあります。地上で収集された隕石の中からアミノ酸が発見されたという実績もあります。流れ星の出現を待つひととき、地球生命のルーツに思いをはせてみるのもよいかもしれません。

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流れ星をもっと見てみたいと思ったら、次のチャンスは冬です。ペルセウス座流星群と同様に、毎年観察できるのが、12月のふたご座流星群、1月のしぶんぎ座流星群です。これらは三大流星群と言われています。

国立天文台では、ペルセウス座流星群を観察するためのウェブページがあるので、こちらもぜひご覧ください。また、観察した結果を報告する、「夏の夜、流れ星を数えよう2015」というキャンペーンも開催しますので、ぜひご参加下さい。

国立天文台 ペルセウス座流星群 2015年
夏の夜、流れ星を数えよう2015

夏の夜に都心から離れた空気の良い原っぱに寝っ転がって、流れ星観測。ぜひやってみませんか。

(文・構成/長倉 克枝)