「ねぶた」をコンセプトにしたインテリアや生活雑貨を開発しているアートプロジェクト「NEBUTA STYLE(ネブタスタイル)」のインテリア照明シリーズ「KAKERA」に新作が登場しました。「KAKERA」は実際に運行された「ねぶたのかけら」を使っているため、すべての商品が世界でたった一つしかないインテリア照明。ねぶたのかけらには、どんな明かりがともるのでしょうか。
 
夏の代表的な祭りの一つ、青森ねぶた祭。起源は定かではありませんが、奈良時代に中国から伝来した七夕祭りと古代から津軽にあった精霊送りや虫送りなどの俗習が一体化し、徐々にねぶたの形になっていったと考えられています。七夕は灯籠を川や海に流して穢れをそそぐ禊ぎ(みそぎ)の儀式で、無病息災を祈るものでした。
 
いつのころからか、ねぶたは次第に巨大になっていきます。1800年頃には、高さ10メートル、幅6メートルほどの大きさに。形状は京都の祇園まつりで使われる山車のような長方形でした。現在のようにさまざまなデザインが用いられるようになったのは、文化年代に歌舞伎をモチーフにしたことが始まりだと言われています。祭りそのものの規模も大きく派手になった明治時代にはさらに大型化が進み、高さ20メートルのねぶたが現れました。
 

2014年から「NEBUTA STYLE」の企画・開発を続けてきたねぶた師の竹浪比呂央氏

2014年から「NEBUTA STYLE」の企画・開発を続けてきたねぶた師の竹浪比呂央氏

ねぶたは、職人が1年をかけて制作しています。構想、設計、骨組み、紙張り、墨書き、ロウ書き、色づけ、台上げ……。ねぶたは多くの人手と手間をかけて作られる優れた芸術作品でありながら、祭りが終わればすぐに解体され、処分されてしまう儚い存在です。
 
「KAKERA」はこの解体されるねぶたから一部を切り出し、アップサイクルしたインテリア。「墨跡」「蝋引」「彩色」の三大技法が用いられたパートを厳選して切り出しているため、ねぶた1体から最大で300個までしか作ることができません。すべての作品には「かけらの使用証明書」が付属されており、どのねぶたの一部であったかが分かるようになっています。
 
照明器具デザイナーの渋谷達也氏と世界各社のCIや欧文フォントの開発・販売を手掛ける後藤崇亜貴氏をデザイナーに迎えて制作された「KAKERA」は、モダンな空間にマッチするデザイン。職人の息づかいや祭りの熱気を閉じ込めた、愛らしいデザインのランプは部屋の中に唯一無二の華を添えてくれそうです。
 

KAKERA “舞” テーブルライト

KAKERA “舞” テーブルライト

#関連リンク
NEBUTA STYLE
「KAKERA」の開発、販売を行うアートプロジェクトのページ。オンライン購入が可能
 
青森ねぶた祭
青森ねぶた祭実行委員会が運営するWebサイト
 
青森教育旅行ガイド
青森ねぶた祭のほか、青森県の自然や伝統行事について知ることができます
 
文:大川祥子