Carsten Nicolai . chroma actor . 2015

8月21日にリニューアルオープンする西武渋谷店。今回の改装でカールステン・ニコライ氏が制作した“アートゲート”は、気温や人の動き、月の満ち欠けによって変化し、365日、毎秒異なる映像を映し出します。
 
2011年以降、西武渋谷店は「Art meets Life」をコンセプトに、アートとデザインを体感できる空間づくりを目指してきました。今回の改装ではA館1Fに設置する“アートゲート”で、リデザインされた店舗への入口を楽しく彩ります。
 
アートゲートの制作を担当したカールステン・ニコライ氏は、光、空間、音をテーマに現代アートの制作に取り組むアーティスト。今回の作品では、4本の柱にLEDビジョンを組み込み、1秒ごとに異なる映像を投影します。無意識に見入ってしまう暖炉の火や川の流れのように、同じようでいて常にまったく同一ではない「一期一会」のアートは、独自の装置が周辺の情報を感知・データ化し、サイネージ上にアウトプットされることで生み出されます。
 

ニコライ顔要クレジットCN_08_sm01-10819

Carsten Nicolai
2008
Photo: Sebastian Mayer

 
ニコライ氏は「人は無作為をコントロールできるのか」という疑問を音や光を使った作品に投影し続けています。2015年4月〜7月にかけて森美術館(東京都・六本木)で開催された展覧会「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」では、高さ3メートルにもおよぶ多面体のオブジェ「アンチ」を公開し、注目を集めました。「アンチ」は人体から出ている磁気を感知して低温を轟かせるように仕掛けられ、先端科学やプログラミングを用いた仕組みによって、作品に触れる人に新しい体験を与えました。
 
独特の知性と感性で、人々に新しい体験を供しつづけるニコライ氏が手掛けたアートゲートは、エネルギッシュで新しい文化が発信され続ける街・渋谷にふさわしい、新しいランドマークとなりそうです。
 
 
##関連リンク
SEIBU SHIBUYA RE-DESIGN
西武渋谷店のリニューアルオープン特設サイト。アートゲートを担当したカールステン・ニコライ氏のほか、フロアのデザインを手掛けた永山祐子氏と佐藤オオキ氏のインタビューを読むことができます。
https://www.sogo-seibu.jp/shibuya/renewal/
 
「シンプルなかたち展 美はどこからくるのか」(森美術館Webサイト内)
カールステン・ニコライ氏の作品「アンチ」が展示された美術展のWebサイト。会期はすでに終了しています。
http://www.mori.art.museum/contents/simple_forms/index.html
 
carsten nicolai(英語)
カールステン・ニコライ氏の公式サイト。
http://www.carstennicolai.com/
 
alva noto(英語)
カールステン・ニコライ氏はアルヴァ・ノトという別名で音楽活動に取り組んでいます。実験音楽を通じて音楽の幅広い可能性に挑むアルヴァ・ノトの公式サイト。
http://www.alvanoto.com/
 
文:大川祥子