ドローンといえば、空中からの映像撮影や荷物を運ぶ機能ばかりが注目を集めていますが、Spaxelsが開発するドローンはプログラム可能なLEDシステムを搭載し、鮮やかな光で夜空にダイナミックな三次元の図形を描く、クリエイティブなクワッドコプターとして世界から注目を集めています。

 

 

Spaxelsは、ドイツのリンツを拠点とするクリエイティブ機関アルスエレクトロニカの研究・開発研究・開発部門であり、アートを制作するアトリエでもあるフューチャーラボが運営するプロジェクトの一つで、もともとはディスプレイやスクリーンなどを使わず、空間に直接、情報やアートなどを自由に表現する方法を開発するためにスタートしました。

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LEDライトを付けたドローンをあらかじめ設定したプログラミングどおりに動かし、明るさや色も合わせてプログラミングできる管理ソフトウェアと地上管制ユニットを開発することで、光のドットで幾何学模様を表現したり、残像で巨大な絵を描いたりできるようにすることで、様々な表現を可能にしています。

 

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2012年に49台のSpaxelsを音楽に合わせてコントロールする「Klangwolke」(サウンドの集合体)をアルスエレクトロニカが主催するフェスティバルで初めて披露してから、世界各地でインスタレーションを公開するようになり、Spaxelsのサイトでは、ベルリンやロンドン、上海、ドーハなどで披露された作品を映像で見ることができます。2014年にはメルセデス・ベンツとのコラボレーションで、大きな七色のLEDを搭載したドローンを使って昼間に室内でインスタレーションを行っている作品もあり、Spaxelsによる表現の自由度はさらに拡がっていることがわかります。

 

 

これからもドローンと光を使った新しい表現方法を研究し続けるというSpaxelsが、どのように進化していくのかが楽しみです。

 

##関連リンク
Spaxels
Spaxelsプロジェクトの公式サイトでは、2012年から様々な場所で行ってきたインスタレーションの数々が見られる。

The Ars Electronica Festival
アルスエレクトロニカの研究作品や世界のクリエイティブ作品を紹介するために毎年9月に開催(2015年は9月3〜7日)するイベントで、Spaxelsによる光のインスタレーションも本フェスティバルで初めて披露された。

ROBOTINITY—ロボットらしさとはなんだろう展
Spaxelsの研究を行うアルスエレクトロニカが協賛する展示会で、Spaxelsをロボットの一つととらえ、研究している模様がビデオなどで紹介されている。10月4日までグランフロント大阪北館・ナレッジキャピタルにて無料で開催。

 

text: 野々下 裕子