2015年8月22日に開館して以来、来場者から絶賛の声が上がっている富山市ガラス美術館。「光」にはなみなみならぬこだわりを持っているようです。
 

建築家・隈研吾が設計 キラキラと輝く「TOYAMAきらり」

隈研吾氏設計 「TOYAMAきらり」

隈研吾氏設計 「TOYAMAきらり」

富山市ガラス美術館は「ガラスの街とやま」を目指すまちづくりの集大成として、富山市立図書館本館などが入った複合施設「TOYAMAきらり」内にオープン。建物は世界的にも著名な建築家の隈研吾氏が設計。訪れた人々から感嘆の声が上がっているのが、五層のフロアを斜めに突き抜ける大きな吹き抜け。富山県産のルーバー(羽板)がふんだんに使用され、ぬくもりのある空間になっています。さらに富山を象徴する表情豊かな立石連峰をイメージしたという外観は、御影石、ガラス、アルミの異なる素材を組み合わせ、素材によって異なる光を反射してキラキラと輝きます。
 
さらに建物だけでなく、設備にも「光」へのこだわりを感じさせるのが富山市ガラス美術館。導入されたワイヤレス展示照明システムによって、従来は不可能とされていた、きめ細かな制御ができるようになったと言います。
 

展示照明は山田照明のワイヤレス調色ソリューション「ECOwine®」を導入。作品に合わせ個別にきめ細かい制御が可能に

美術館で一般的なJIS規格のライティングダクトレールを使用した展示照明では、これまで、照明を制御するためには照明器具の調整つまみを個別に手作業で調整するか、調光分電盤を設置して電源回路ごとに画一的に操作するしかありませんでした。このため、調整には非常に時間がかかり、また展示品によって個別に色温度を変化させるような複雑な調整を大規模に行うことは不可能とされていたのです。
 

「ECOwine®」の構成

今回富山市ガラス美術館に導入されたのは無線調色・調光システム「ECOwine®」と対応ミュージアムスポットライト577台。山田照明が開発したこの新しい展示照明では、村田製作所製の無線モジュールを照明器具一台一台に組み込むことで個別の調色・調光を可能にし、また照明器具全体を管理できる無線制御システムできめ細やかな空間演出ができるようになりました。
 
富山市ガラス美術館では、富山市所蔵のガラス作品約30点を展示するコレクション展を行うほか、展示室の壁面や図書館内の「グラス・アート・パサージュ」では富山ゆかりの作家の作品約50点を展示します。さらに6階「グラス・アート・ガーデン」では現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリ氏の工房が制作したインスタレーションを展示します。
 
ガラス作品は光があってこそ美しく輝くもの。JIS規格ライティングダクトレール設置型スポットライトを個別に電球色から昼白色まで細かく制御できるシステムを導入した富山市ガラス美術館、今後どんな展示が行われるのか、注目です。
 
 
#関連リンク
富山市ガラス美術
富山市ガラス美術館の公式サイト。開館情報や企画・イベント情報など。
 
隈研吾都市設計事務所
富山市ガラス美術館の設計・デザインを担当した隈研吾都市設計事務所のサイト。これまでの作品を一覧することができます。
 
ワイヤレス調色ソリューション ECOwine®
山田照明のサイト内、ECOwine®のページ。システムの概要、対応する照明、応用方法などが掲載されています。
 
 
文:スガタカシ