Nox Smart Sleep Light

快適な睡眠を手に入れるための研究は古くから数多く行なわれていて、それらを元に新しい寝具や睡眠剤の開発が行なわれていますが、最近ではインターネットやスマートフォンといったIT機器の力を借りて睡眠をサポートするスリープコンパニオンと呼ばれる機器が数多く登場しています。

 

もともとは昼夜のない宇宙飛行士のためにNASAが照明機器で眠りをコントロールするために開発したものだと言われていますが、現在では様々なアイデアを取り入れたスリープコンパニオンが数多く発表され、早くも市場競争が過熱しています。

 

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SleepSense

スリープコンパニオンの特徴は、眠っている状態をスマホや、fitbitのように腕時計型で身に付けられるウェアラブルタイプの生体活動計、あるいは枕元に置けるセンサー付きのデバイスで観測し、それらのデータに合わせて空調や照明を調整することで快適な睡眠と起床を提供するというものです。大手家電メーカーも多数参入しており、最近ではドイツのベルリンで開催された欧州最大の家電見本市IFAで行われたプレス発表会で、サムスンがスリープコンパニオン機能を持つ「SleepSense」という製品を発表しています。

 

製品パターンとしては、ベッドなどの寝具の下に専用のセンサーを敷いて眠りの状態を計測し、収集したデータを元に眠りのパターンをスマホアプリで解析。照明を組み合わせる場合、寝室の照明や枕元に置いたLEDライトと連動させて、あかるさを自動で変化できる仕様になっています。

 

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The Nox Smart Sleep Light

基本的な機能は開発各社とも同じですが、眠りそのものに対する照明の効果に明確な基準がないためか、製品によって提供する照明機能に違いがあるのがわかります。例えば、Sleepace社のThe Nox Smart Sleep Lightというスリープコンパニオンは、ベッドサイドに置けるサイズのLEDランプで眠る時には青いライト、起きる時には明るさの強い白色ライトにそれぞれ自動で切り替わるようにしています。

 

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Holi

フランスの開発会社が開発したholiは電球タイプのスリープコンパニオンで、20色のあかりが灯せる電球にさらに照度が調整できる機能を組み合わせることによって、人それぞれに快適なあかりを提供することができるとしています。また、スマートホームシステムを開発するmy EarlySense社では,前述のサムスンの「SleepSense」のように専用の眠りセンサーは使わず、家の中全体の温度や湿度を計測できるセンサーからの統計データを用いて、眠りのサポートも行えることをシステムの特徴として打ち出しています。

 

いずれにしても、オンオフだけではない、様々なタイプのあかりが演出できるようになるだけでも、眠るのが楽しくなりそうです。

 
 

##関連リンク
サムスン SleepSense
サムスンがベルリンで開催されたIFAで発表した、寝具の下に敷くタイプのスリープセンサーで、睡眠の状態をアプリで管理し、照明や空調などの家電製品と連携させることができる。
 
Sleepace社 The Nox Smart Sleep Light
もともとは睡眠トラッキングシステムを開発していたが、今回あらたに照明機能を組み合わせて、睡眠や起床をコントロールできるスリープコンパニオン市場に参入している。
 
holi
フランスのスマートライト開発メーカーで、新たにスリープコンパニオンを特徴とする電球を専用アプリと共に開発している。
 
My EarlySense社
スマートホームシステムを通じて照明機器をコントロールし、眠りのサポート機能を提供している。同様のシステムを開発しているメーカーは世界中にあり、スリープコンパニオン機能を取り入れることが標準になるかもしれない。
 

text: 野々下 裕子