製薬会社らの調査によると、世界人口の約35%はなんらかの睡眠障害があり、中でも不眠症は健康への深刻な被害をもたらすとされています。そうした影響か、ここ数年の間で、睡眠の状態を管理し、安眠をうながすことを目的とした『スリープコンパニオン』と呼ばれるウェアラブル端末や専用機器が次々と発売されています。先日、ドイツのベルリンで開催されたヨーロッパ最大の国際家電見本市「IFA」でも、最先端の技術を採用したスリープコンパニオンが多数発表されていました。

 

withings-aura-m2

その一つ、 デジタルヘルス向け機器を開発するフランスのWithings(ウィジングズ)社が発売する「AURA」は、専用のマットを寝具の下に敷いて、睡眠状態を正しく計測し、それに合わせてベッドサイドなどに置ける小型のLED照明とスピーカーを組み合わせた機器から、安眠や起床をサポートするあかりと音楽を提供するという製品です。その名のとおり、オーロラのように七色に変化するあかりが大きな特徴で、例えば、睡眠から間もなく覚醒するというタイミングに合わせて、快適な目覚めに効果的とされている太陽と同じ明るい白色光を、眠る際には淡い青い光を自動で灯します。

 

音楽は眠りの状態に合わせて音量が自動で調整され、自分の好きな曲以外に専用アプリを通じてストリーミング音楽サービスのSpotifyに登録されている中から、眠りに効果的な音楽をチョイスすることもできます。WithingsとのコラボによるAura Sleep Systemも開発していて、セレクトされた睡眠&起床向けの音楽リストはサイトからSpotifyのユーザーなら誰でもフォローできるようになっています。(ただし、残念ながら日本ではまだサービスが始まっていません)

 

withings-aura-m1

あかりや音楽は使いはじめの頃は自分で設定が必要ですが、睡眠のデータが蓄積されてくると、その人に最適な状況がわかるようになり、より早く快適に眠りにつけるようあかりの調整も自動的に行われます。他にも、本体に搭載された環境センサーから気温や周囲のあかりのデータも取り込み、総合的にねむりをサポートしてくれるというわけです。ヨーロッパは夏と冬では日照時間の長さが大きく変わるので、こうしたスリープコンパニオンのニーズが高いと見られていますが、世界の中でも不眠症が多いと言われている日本でのニーズもこれから高まるかもしれません。

 

AURAの価格は環境センサーを搭載したLEDライト本体だけなら189.95ユーロ、専用の睡眠センサー・パッドを付けた場合は299.95ユーロで購入できます。

 
 

##関連リンク
Withings社「AURA」のサイト
Auraの機能や睡眠システムについて解説されている。
 
Spotify
AURAの睡眠システムのためにSpotyfyからセレクトされた安眠&起床向け音楽のリスト。日本ではまだサービスが始まっていないが、海外での登録済みの場合は利用可能。
 
総務省統計局による「生活時間に関する結果」
5年周期で実施されている調査で日本人の睡眠時間の調査も含まれる。リンクは平成23年の社会生活基本調査の結果で、調査対象の平均睡眠時間は7時間42分で5年前と同じ水準であるものの、15~44歳で増加、45歳以上で減少しているとのこと。

 
 

text: 野々下 裕子