光を使ったアート作品やメディアートはいろいろありますが、エルサレムの建築家が考えたアート作品はこれまでとは少し違った印象を持っています。まず、光がむき出しになっていないこと。そして、昼の間も作品として楽しめるようになっていることです。
「Warde」と名付けられたアート作品は、バレロスクエアテルアビブの本社の建築家によって設計された巨大な動くポピーのような形をした花のライトで、花びらは大きな赤い布で作られ、昼間は風にゆったりとゆられています。それが、横を歩く通行人の動きに反応して、ゆっくりと大きな花を開かせ、その時にようやく花心の部分にライトが見えるようになっていて、光はそれほど強くはありません。

(c) Dor Kedmi, 2014
逆に夜になると、花の姿はあまり目だ立たなくなりますが、花が開いた時にやわらかなあかりが周囲を照らし出し、まさしく町の中には長咲いたような華やかさを演出してくれます。
作品が展示されたのは、公共交通機関があり、大きなショッピングエリアが集まる繁華街で、普段はいかにも街らしい空間。それが、一つの作品があるだけで、人々がリラックスする空間になり、活性化されることを証明しています。

(c) Dor Kedmi, 2014
30フィート近くある花のオブジェは、日が差している間は太陽から守る傘になり、夜は憩いの場を照らすライトになりますが、メカニズムは至って簡単で、公共施設としても使えるほどです。
砂漠の暑い国ならではのインスタレーション作品ですが、もしかしたら温暖化が進む日本の街でも、こんな素敵なあかりの花が咲くようになるかもしれませんね。
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作品紹介
http://www.catalogodiseno.com/2015/02/18/hq-architects/
HQ
http://www.hqa.co.il/press.php
text: 野々下 裕子