日本でも多くのファンに愛されるクリスタル・メーカーのスワロフスキーが、まばゆい太陽の光が降り注ぐ街マイアミをステージに、様々なアート作品を紹介する「Design Miami」で数々の注目作品を発表してきたのをご存知でしょうか。毎回、地球の大自然をテーマにした作品をクリエイターと共に製作し、前回はアメリカの建築家ジャンヌ・ギャングとのコラボレーションで、バーチャルな氷河を再現する作品を展示しました。
 

el-sol-m2

今回発表された新作は、小さな太陽のように輝くクリスタルボールによるインスタレーション作品で、太陽と人間とのつながりをモチーフにしています。製作を手掛けたのはメキシコシティを拠点にする建築家でデザイナーのフェルナンド・ロメロ氏のFR-EEスタジオ。本作品のためにカスタムメイドされた2,880ものスワロフスキーが使われており、普段よく目にする透明な氷の結晶のようなスワロフスキーとは異なり、淡い炎のようなあたたかな輝きを放っているのがとても印象的です。
 

スワロフスキーがイベントのためだけに製作した10億分の1の太陽がどのように創られたのかが紹介されています。
 
スペイン語で太陽を意味する「El Sol」と名付けられた作品は、古代アステカのマヤ人が天体観測のためにピラミッドを設計した時に使われた、神聖な幾何学にインスパイアされたことがアイデアのベースになっており、大きさは太陽の10億分の1サイズが正確に再現されているそうです。オーストラリアにあるスワロフスキーの本社で、3カ月かけてデザインと技術開発を行った際には、幾何学的要素をいかに取り入れるかというエンジニアリングの部分に350時間以上が費やされたそうです。
 

el-sol-m1

球体は、4つの異なるタイプのカットクリスタルを複雑なパズルのように組み合わせて作られており、表面はスワロフスキー独自のオーロラコーティングにより独特のなめらかさに仕上げられています。中心部には太陽の核に見立てられた結晶があり、さらにその内部からLEDによる光が放たれていますが、太陽のフレアを再現するために球面の内部をゆっくり移動するように計算されています。
 
実際に作品を見た観客によると、El Solは展示された部屋全体を万華鏡の中にいるように不思議なプリズムで輝かせ、多くの感動と称賛を集めていたそうです。展示されたのは12月2日から6日という短い期間だけだったので、その後はどうなったのかが気になるところです。
 
 
##関連リンク
Swarovski
スワロフスキーの公式サイト。こちらのサイト以外にも宝石用のジェムクリスタルなど、様々な製品を扱っており、ウェアラブル製品のコラボレーションなども手掛けています。
 
El Sol in Design Miami
毎年12月にマイアミで開催されるデザインイベント「Design Miami」(2015年12月2〜6日開催)のEl Solの作品紹介ページ。
 
 
text:野々下裕子