ICHI-GO(MICシリーズ)

安くて安全な光源が普及したことから、出番の少なくなってしまった提灯。しかし茨城県水戸市にある老舗、株式会社鈴木茂兵衛商店では、伝統の技術を生かして、最新のインテリアとして使える斬新なデザインの提灯を作り続けています。
 
株式会社鈴木茂兵衛商店は、慶応元年(1865年)に4代目鈴木茂兵衛が創業した老舗。「水府提灯(すいふちょうちん)」と呼ばれる、関東甲信越から東北にかけて利用されてきたちょうちんを製造・販売してきました。
 
水府提灯の特徴は骨組みの作り方にあります。一般的なちょうちんは、竹骨をらせん状に裁断し、それを立体に広げることで骨組みを形成することがほとんどですが、水府提灯は竹ひごを1本ずつ輪にしてから糸で絡めていく製法を採用しています。これまで、この製法は「丈夫」という利点が着目されていましたが、実はらせん状の骨組みで作る提灯にくらべてデザインの自由度が高いというメリットもあります。
 

瓶型シリーズ

瓶型シリーズ

らせん状の骨組みでは、球形や楕円形が最もちょうちんが安定する形となりますが、水府提灯の製造方法であれば、提灯にくびれや凹凸を作ることが可能です。実際に鈴木茂兵衛商店では「つぼみ」や「とり」、「酒瓶」「きのこ」といったさまざまな形状の提灯を制作・発表。「すずも提灯」というブランドで売り出しています。
 
「すずも提灯」の中にはろうそくの炎のような“ゆらぎ”を再現するLEDが入っており、古くからの提灯のイメージに近い商品となるような演出が施されています。新旧の技術が集結した新しいインテリアである「すずも提灯」ですが、なかでも豆や雲など自然にあるものをモチーフにしたMICシリーズ2種と瓶型提灯は「人種や国籍を超えた普遍性がある希望の光をデザインしている」という評価を得て、2012年にグッドデザイン賞を受賞しました。
 
※現在「すずも提灯」はステンレス製の骨組みを採用しています
 
独創的なアイデアとデザインのMIシリーズは今もラインアップを増やしており、2016年1月29日〜2月2日には京都で展示販売会が行われ、新商品である星型の提灯も初披露されます。
 
和の趣のある部屋はもちろん、洋のインテリアにもぴったりな「すずも提灯」。まずは一度、実物を見てみてはいがでしょうか。
 
【展示販売会情報】

会場: 空・鍵屋 (SPACE KAGIYA)

住所: 京都府京都市東山区祇園町南側花町570-107

URL:  http://www.kagizen.co.jp/store/

会期: 2016年1月29日(金)から2月2日(火)
時間: 10時から18時(最終日は16時まで)

STANDARD(MICシリーズ)

STANDARD(MICシリーズ)

 
#リンク
株式会社鈴木茂兵衛商店Webサイト
商品ラインアップのほか、水府提灯の歴史や製造工程を知ることができます。
 
YouTube 鈴木茂兵衛商店
MIシリーズの「とり」のイメージ動画です。

 
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文:大川 祥子