3年ほど前から人気を集めている「メモリアルヌード」。当初は妊娠などによる一時期にしか訪れない身体の変化を記憶しておくものとして認知されていましたが、現在はそうでない女性の利用も増えてきているそうです。
 
メモリアルヌードの火付け役となったのは表参道にあるメモリアルヌード専門フォトスタジオ「studio IVY(スタジオアイビー)」。運営会社は、もともとは別のスタジオ「Happy Birth Photo Studio(ハッピーバースフォトスタジオ)」でマタニティ・ベビーの撮影を専門的に行っていましたが、「妊娠していなくても自分のヌードの写真を撮っておきたい」という女性の要望に応える形で新しいスタジオをオープンしました。
 
同社がマタニティ以外の女性の撮影を始めたのは1本の電話がきっかけです。それは乳がんの手術を控えた女性の問い合わせによるものでした。「今の姿を残しておきたい」という思いを汲んだ同社が要望に応えて撮影をすると、不思議なことに翌月から同様の問い合わせが急増。サービス化を決定したのだそうです。
 

左上の物体が問題の「コロッケ」

古から美術のテーマとして欠かせなかった女性の身体は、人生で3回は変わると言われています。一つとして同じものはなく、また同じ瞬間もないことから、その儚さゆえに一層美しさを感じるのかもしれません。今この瞬間を目にみえる形でかっこよく残しておきたいと考えるのは女性のごく自然な心理なのでしょう。
 
同スタジオで撮影するヌード写真はアート性が高いのが特長。エロティックな撮影は実施しておらず、自宅にも飾れるような雰囲気の作品です。最近ではギフトとしての需要もあるのか、写真をフォトブックにできるサービスが好評。バレンタイン期間に合わせて開催している「バレンタインキャンペーン」期間中は、通常月比300%の予約が入っているそうです。
 
自らの身体をアートにできるメモリアルヌード。静かなブームは加速的に広がってきており、出張型のサービスも増えつつあります。今後の新しい記念撮影のあり方として定着する日は遠くないのかもしれません。
 
 
#リンク
studio IVY
表参道でメモリアルヌードの撮影サービスを行っているスタジオ。スタッフは全員女性です。
 
Happy Birth Photo Studio
「studio IVY」に隣接しているフォトスタジオ。マタニティとベビーが専門です。
 
SKETCHES OF TOKYO(青幻舎Webサイト内 新刊案内)
2月1日写真家・藤代冥砂の初のモノクロヌード写真集が発売されました。ますますヌードに興味がわくきっかけとなるかもしれません。
 
 
文:大川祥子