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2月4日の「立春」を過ぎると、暦の上ではもう春。たとえ気温が寒くても、光の明るさに春を感じる人も多いのではないでしょうか。暖かい日と寒い日を繰り返す「三寒四温」という言葉も、この季節ならではです。
 

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そして、2016年2月19日は、二十四節気の「雨水(うすい)」にあたります。強い南風の「春一番」が吹くのはちょうどこの頃で、雪が雨に変わり、池や川などに張っていた氷も徐々に溶け始めます。昔から、雨水が農耕の準備を始める目安とされてきました。この時期に溶け始めた雪が川に流れ、4~5月になると雪解け水によって川の流量がピークを迎えます。すると、いよいよ田植えの季節の到来です。
 

気候変動で雪の量が減る?

 
 日本の農業に欠かせない雪解け水ですが、もしかすると気候変動によってこの雪解け水の流量と流量のピーク時期に変化が起こるかもしれません。
 
 将来の気候をスーパーコンピューターで予測したところ、2000年代に比べ、2030年代の北陸地方の年間総降雪量は約40%も減りそうだという結果が報告されました(※参考 https://www.restec.or.jp/recca/staticpages/index/kimura.html)。
 
 もし、冬の間に雪ではなく雨が降れば、降った雨はすぐに川に流れてしまいます。また、地球温暖化がこのまま進めば、雪解けの時期が前倒しになる可能性も指摘されています。すると、川の流量のピーク時期は、今よりも早くなるかもしれないのです。つまり、稲作で潤沢な水が必要な代掻きや田植えの時期に、十分な農業用水を確保することが難しくなるのです。
 

田植えの時期を遅くする動きも

 
 この、雪解け水の流量ピークと稲作の時期のミスマッチは、今後ますます広がっていく可能性があります。というのも、温暖化する気候に適応するため、田植えの時期は今よりも遅らせる傾向にあるからです。
 

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 実は、稲穂が実るときに高温の状態が続くと、お米の品質が悪化することがわかっています。田植えを遅らせれば、実りの時期も後倒しになり、猛暑の時期を避けられるというわけなのです。
 雪解けの時期が早くなり、田植えの時期が遅くなれば、それだけ水が必要な時期に水がないという状態になっていきます。ダムに水をためるにしても、限度があります。沿追う考えると、今後稲作における水資源の問題は深刻になっていく可能性があるということなのです。
 

太平洋側の雪が春に降るわけ

 
さて、雪解けの話ばかりしていましたが、太平洋側では、春先のこれからの季節にも雪が降ることもあります。
太平洋側の雪をもたらす原因の多くは、日本の南岸を通過する「南岸低気圧」です。これは西高東低の冬型の気圧配置がゆるむと発生します。太平洋側の雪の予報はなかなか当たりませんが、雨が降るのか雪が降るのかは、南岸低気圧の進むコースや、上空の寒気の状態、空気の湿度など、複雑な要素が絡まりあって決まります。
 
春らしい日が増えて来るとはいえ、まだまだ油断大敵。春と冬がせめぎあう季節なのです。