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Walkerは、センサーやコンピュータを搭載した高齢者用の歩行補助器です。カタルーニャ工科大学(スペイン)のメキシコ人研究者、Ulises Cortés教授のチームが開発しています。プロジェクト自体は2004年に始まっているようなので、すでに12年の歴史を持っています。

そもそも、介護やリハビリで用いられる歩行補助器(手押し車)のことを英語では”walker”と呼ぶようです。

 

Walkerには無線のインターネット接続機能もあり、後輪はバッテリー駆動で回転して、歩行を助けてくれるようです。2008年の時点で、音声コマンドに対応していたようで、「キッチンまで連れてって」と言えば、そちらへ誘導する機能を持っていたようです。人工知能の搭載により、利用者である高齢者の普段の足取りなどの動きを憶えておいて、いつもと違えば異常と判断し、救急メッセージなどを送出することができます。Walkerは近い将来、市販することを目的に開発が進められています。

 

EUのDALiプロジェクトでもSiemensがマイクロソフトのKinectを搭載したウォーカーを開発しています。アメリカでは、UCLAなどがセンサー内蔵のステッキ(杖)、Isowalkを開発していました。

 

 

異常を検出することも大切な機能ですが、センサーやGPSやカメラが搭載されたハイテク・ウォーカーが、比較的安価に手に入るならば、歩行に問題のある高齢者や認知症患者の人々の活動量計(アクティビティ・トラッカー)の役割を担うこともできます。ICT(情報通信技術)は、遠隔地の高齢者が自室に居ながらにして、遠くに住む子供や孫とコミュニケーションをするツールを提供してくれています。買い物に出かけなくても宅配で食料品や書籍が自室に届き、床の掃除もロボットがやってくれるようになりました。

 

しかし、できるだけ出歩いて、人と会って話すことが重要だと言われています。自動運転車が、とっさの判断を強いる自動車の運転から高齢者を解放してくれるとも言われていますが、セルフ・ドライビング・カーで買い物や病院に出かけるとしても、駐車場から先は、やはり、自分の脚で歩いて、出会った人とは直接、会話をできるに越したことはないでしょう。

 

若い世代には思いつきにくい、技術の適用領域というものが世界にはまだまだありそうです。

 

 

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