イギリスのブライトン・アンド・サセックス・メディカル・スクール(BSMS)で、コンピュータに人が退屈しているかどうか判定させる研究が行われています。
 
見ている画面に興味があるか、退屈しているかをボディーランゲージから読み解こうという試みで、人が知らず知らずのうちに示している「非道具的動作抑制(NIMI:non-instrumental movement inhibition)」から退屈度合い、関心度合いを測るそうです。
 
測定方法の1つが、被験者27名に3分間のビデオをコンピュータ画面上で見せ、興味を惹きそうな内容と、つまらない内容をランダムに表示するというもの。ビデオが流れている間の被験者の動き(主として頭や膝)と、その人が触っているマウスの動きなどを計測します。結果、画面に関心が高まると非道具的動作(頭や膝の動き)が42%減少したそうです。
 
将来的には、Eラーニングなどで受講者の関心の度合いに適応して提示する学習素材を変えていき、学習効果を高めるといった応用が考えられています。また、映画制作やゲーム開発においても、観客やゲーム・プレイヤーの関心度を場面場面で測ることが可能になるとか。
 
さらに、今後技術が発展していけば、ウェブサイトのヒートマップのように「人がどこを見るか」といったことだけではなく、時間軸の中でどれくらい「エンゲージメント」を示しているかが分かるようになるようです。
 
実際、進化の過程で集団生活を続けてきた我々には、会話している相手が退屈しているか、話題に興味を持っているかは比較的容易に判別できます。あるいは、テレビを観ている人を横から観察していても、その人が番組に興味を持っているかどうかは分かりますよね。
 
そう考えると、おそらく目の動きなどを追いかけるアイ・トラッカーや、カメラを使って表情を捉えることでも同じように関心の度合いを計測することはできそうです。いずれにしても、従来のように45分のレクチャーや、1時間の番組、2時間の映画が終わったあとで感想を質問する方法に比べれば、きめ細かく、ある意味で正直な反応を知ることができるようになるでしょう。
 
いずれは人と接するロボットに「感情豊かな」対応をさせることにも役立つ可能性がありそうです。