©Shoji Ueda Office courtesy of Chose Commune

生誕100周年を記念して開催された2013年の回顧展以来、植田正治はいままた“ブーム”といえる人気を得ているようです。たとえばファッション界で注目されている山縣良和は、今シーズンSSのTシャツで植田の作品とコラボレーションを行いました。
 
植田正治は、生涯、故郷である鳥取を離れることはありませんでした。いわば“地方作家”であった植田の作品の多くは、地元=鳥取砂丘を大きなホリゾントに見立て、平面的に人物を配置した独特な演出写真で知られることになります。
 
その構成力とスケール感は、当時の日本で主流だったドキュメンタリー志向とは大きく異なるものでした。彼の独特の作品スタイルは日本だけでなく世界でも認められます。2000年、没後にヨーロッパで巡回された展覧会は大きな評判を呼び、その際に用いられた「Ueda-cho(植田調)」という形容句が、ヨーロッパのフォトアート界の共通語になるほどでした。

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©Shoji Ueda Office courtesy of Chose Commune

 
今回、紹介するのは植田正治に魅せられたフランスの出版社「Chose Commune」より発売になったばかりの『shōji ueda』です。初掲載となるモノクロ作品を中心に、晩年に取り組んだカラーの静物作品が巧みなブックデザインにより織り交ぜられた、これまでの植田正治作品集にはないアプローチが施されています。
 
また、作品集の意味をより深くするための構成として、芥川賞作家・堀江敏幸による書き下ろし短編小説が、巻末に収録されています。
 
ある意味では、生涯ひとりのアマチュアとして写真を取り続けた植田正治。好きなものだけを撮るからこそ、何を撮っても自分のものになっていったのではないでしょうか。そのスタイル「Ueda-cho」を、海外の目を通すことで再発見できる貴重な一冊です。

 
 

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■ 写真集『shōji ueda』(Chose Commune 刊)
作家:植田正治/短編小説:堀江敏幸(和・英・仏)
発行部数:1,200 部
特製ポストカード(カラー作品)付き *日本流通分限定
販売価格:10,000 円(税別)
Vacant(原宿)ほかで発売中

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■ 発行記念イベント
 
植田正治「shōji ueda」発行記念トークセッション
会場:VACANT 2F
住所:東京都渋谷区神宮前3-20-13
日程:2015年12月3日(木)
時間:19:00 開場 / 19:30~21:00
登壇者:堀江敏幸(作家)、大竹昭子(作家)、増谷寛(植田正治事務所)
入場料:1,000円
定員:50名
予約・イベント詳細
https://www.vacant.vc/d/272

 
飯沢耕太郎と写真集を読む! 第19回 植田正治
会場:写真集食堂 めぐたま
住所:東京都渋谷区東3-2-7
日程:2016年1月17日(日)
時間:10:00~11:30
ゲスト:増谷寛(植田正治事務所)、濱中敦史(twelevebooks)
入場料:2,500円/学生割引 1,500円(ともに三年番茶付き)
定員:15名
予約・イベント詳細
http://megutama.com

 
 
文:和坂康雄