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日本と言えば東京タワー、フランスと言えばエッフェル塔(La tour Eiffel)、ニューヨークと言えばエンパイアー・ステイトビル(Empire State Building)と、街のシンボルとなる塔やビルは世界各地に点在しています。現地の人々からは憩いの場として、また世界中の人々からは観光名所として親しまれています。
色や形こそ全く異なる三者ですが、昼と夜で2つの顔を持ち合わせているという接点があります。昼は堂々とそびえ立ち、夜は光で見る者を魅了するのです。
三者のなかでもとくに夜間のライトアップに注力しているのは、ニューヨークのエンパイアー・ステイトビルです。ビルの上部は毎晩夜中の2時までライトアップされているのですが、時期により光の色が異なります。例えば、7月4日の独立記念日にはアメリカ国旗を彷彿させる青、赤、白の3色がビルの上部を染めあげます。光の色に意味を持たせることで、シンプルながらもダイレクトなメッセージが見えてきます。同時に「今年もこの時期がやってきた」と、季節を視覚的に感じることができるのです。

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9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件で亡くなった全ての人への追悼の意味を込め、青、赤、白に染まるエンパイアーステイト・ビル。Image by David ShankboneCC BY

マンハッタンのほぼ中心に位置するニューヨークで最も高い高層ビルでもあるエンパイアー・ステイトビル。86階、もしくは102階の展望台から360度一望できるニューヨークの夜景の美しさはよく知られています。けれど、夜のマンハッタンを散歩する機会があれば、是非一度、地上から空を見上げてみてください。展望台からの景色では感じることの出来ないメッセージが、光によって発信されているかもしれません。ビルの灯りから季節を感じることができれば、立派なニューヨーカーの仲間入りです。
8月のライトアップ・スケジュール
8月7日
戦闘を含む作戦行動によって死傷したアメリカ合衆国全軍の兵士に対して与えられるパープルハート賞を讃え、勲章の色でもある紫色に染まります。

8月20日
エンパイアー・ステイトビルの社員を讃え、 同社ロゴの色でもある緑と青の2色が点滅します。

8月31日
全米オープンテニスが開始されるこの日は、デビスカップ、マスターズ、グランドスラムを意味する緑、青、黄の3色に輝きます。

エンパイアー・ステイトビル
エンパイアー・ステイトビルの公式サイト。月始めにタワーライトの月間スケジュールを公開しています。展望台への入場チケットも事前に購入できるので、スムーズな入館を叶えてくれます。
文:細川依里