写真は全て京都市文化財保護課提供

2015年8月16日、お盆の最終日にあたるこの日、京都の五山に炎で書いた文字を浮かび上がらせる「京都五山送り火」が実施されます。祇園祭とともに京都の夏を代表する風物詩の1つである本イベントには例年約10万人が見物に来ています。

よく「大文字(だいもんじ)焼き」と呼ばれますが、これは「山焼き」ではなく「送り火」です。「送り火」とは、お盆の間家に戻って来ていたご先祖様の魂を冥府に送り返すため、冥界の方向を導くための灯りとされています。同時に残された自分たちの健康や家内安全も併せて祈る風習があり、点火された「送り火」に対して手を合わせる人の姿も多数見られます。

また送り火を焚いた後の松明の炭は「消し炭」や「からけし」と呼ばれていますが、浄化によって焚かれた松明なので炭自体も浄化されたものだと考えられており、翌朝以降に山に登って「消し炭」を求める人も多数。この炭は細かく砕いて少量服用するほか、奉書紙に包み玄関などに置くことで魔除けになるといった信仰が残っています。

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「京都五山送り火」はその名の通り、5つの火が灯されます。「大文字」がよく知られるところではありますが、他のエリアでは「妙」と「法」、「船形」「左大文字」「鳥居形」と以上5山で送り火が灯されます。正確には6つですが「妙」と「法」は一対であると考えられているため、「五山」と呼ばれています。「大文字」は一画が160mにも及ぶ大きさです。

今年の送り火は午後8時、左京区の如意ヶ嶽(にょいがたけ)の大文字から順に5分おきに点火される予定です。

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■関連サイト
京都五山送り火(京都市観光協会)
https://www.kyokanko.or.jp/okuribi/

三大祭・五山の送り火|五山送り火|五山送り火に手を合わせよう(京都の伝統・文化・暮らしのガイド)
http://kanko.city.kyoto.lg.jp/wakaru/festival/gozan/basis/index.html

文・栢原陽子
http://unibrand.jp/