© Asami Alexander

掃除、洗濯、食事の用意など、日々家事をしながら育児に奮闘しているママたち。朝起きてから夜寝るまでの間、ずっと子供と過ごせる幸せもある反面、ママ業はなかなかハードなものです。私自身も家事に育児に仕事にと、気がつけばあっという間に1日が終ってしまうため、その大変さは身をもって実感しています。

 

朝から夜にかけて変化する光こそ、写真を撮りたいと思える「小さなきっかけ」となる

フォトグラファーという職業柄、写真を撮る機会が多いのですが、自分の子供の写真となると「いつでも撮れる」と思ってしまいます。肌身離さずカメラを持ち歩き、あらゆる場面でシャッターチャンスを狙うことが好きだという人もいらっしゃいますが、私の肌感覚ではやはり少数派だと感じています。写真を撮るという行為が日々のルーティーンに組み込まれていない場合、写真を撮るための「小さなきっかけ」が必要なのかなと思います。朝から夜にかけて刻々と変化する「日常の光」はそのきっかけの1つです。毎日何気なく見ている光を改めて意識することで、切り取りたい瞬間が見えてくると思うのです。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

真上から降り注ぐ太陽の光が子供を優しく包み込む。 © Asami Alexander

まずは朝の光。早朝に起きてくる子供に朝ごはんを食べさせ、お掃除、お洗濯と、バタバタした朝の時間が終わった後は、公園へおでかけするという人も多いのではないでしょうか。公園には様々な遊戯用具があり、撮影にはとても適した場所です。ジャングルジムや雲梯など、子供が自分より高い位置にいるときは、カメラを子供の真下から構えて見上げるように撮影してみましょう。下から上へ向かってカメラを向けることで、空からの光が子供を柔らかく包み込み、一生懸命遊んでいる姿が引き立つ印象的な写真になります。
砂場でトンネルを掘ったりお団子をつくったり、またはドングリやお花を集めたりと、地面に向かって子供が遊んでいるときも同様、そっと下から撮ってみてください。下から撮ることで余計なものが写真に写り込むのを防ぐことができるのです。住宅地の中にある公園だと背景に車やビルが写り込んでしまうことも多いため、せっかく子供を可愛く撮れても背景によっては写真の良さが半減してしまいます。後からアプリなどで修正することもできますが、撮るときに背景を整理できるのが最も望ましいですからね。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

木が茂っている場所で撮影すると、都会にいることを忘れてしまうほど素敵な写真になります。 © Asami Alexander

午前中はきれいな写真を簡単に撮りやすいですが、午前中でもなるべく撮影を避けたい時間帯があります。太陽の位置が頭上の真上にくる11時頃です。太陽が真上から照らす光を「トップ光」と言い、この状態になると髪の毛や鼻の影が強くなり、子供の顔をキレイに写すことが出来ません。その日の天候にもよりますが、11時までの光は子供だけに限らず撮影全般に適しているので、是非頭の片隅にでも置いておいてください。
思いっきり遊んで帰ってきた後はお昼ご飯、お昼寝と、気がつけば少し陽が傾いてくる時間帯です。夕方の光は強い光が斜めに差すため、そのときの空気感を大切にした写真を撮ることができます。西日は光と影のコントラストが強くなるため、見慣れた景色や光景でも夕陽に照らされるだけでドラマチックな空気感が漂います。

撮影した場所、時間、心境などを絶妙に写し出してくれるのが、幻想的な夕方の光です。 © Asami Alexander

西日で撮影するときは角度や逆光などをあえて気にしないことが重要なポイントです。顔をはっきりキレイに写すことが目的ではなく、あくまでもそのときの空気感を伝えることを意識してシャッターを切ってみてください。子供らしいふんわりとした雰囲気とはまた違った空気感が楽しめるはずです。後から写真を見返したときに、「何をしていた」かではなく「どんな気持ちだったか」を思い出させてくれるでしょう。
太陽が完全に沈んだ後、暗い空間でこそ映えるものといえば花火です。夏も終わりに近づくこの時期だからこそ、夏の思い出に子供の大きな笑顔と鮮やかな花火の光で幻想的な雰囲気を写してみましょう。花火を撮影するときは必ず、花火以外の光はなるべく消しましょう。懐中電灯の光やカメラのフラッシュなど全て排除することで、色鮮やかな花火の光が嬉しそうな子供の表情をより一層引き立てます。

花火から出る煙が写真に空気感と躍動感を与えます。 © Asami Alexander

花火からでる煙もまた、良い写真を撮るためには必要な要素のひとつです。花火の光が反射した煙が無邪気にはしゃぐ子供を包むことで、静止しているはずの写真に躍動感を与えてくれます。手持ち花火ではなく、打ち上げられる花火を撮影するときは、公園での撮影方法と同様、下からのアングルで花火を見つめる子供を撮ってみてください。夜空に輝く花火のようにキラキラしたものにたくさん出会っていって欲しいと願う、母親の気持ちを込めながらシャッターを切ればきっと、さらに奥深い1枚になるはずです。