ろうそくの炎のような動きのある明かりを楽しめる「光升」

お酒の席のムード作りに一役買いそうな“枡(ます)”が開発されました。
 
「和食」の無形文化遺産登録を受けて、注目が集まっている日本の食卓。料理そのものだけでなく盛りつけや食器にも世界からの視線が注がれ、軽くて丈夫な枡は日本みやげとして外国人観光客に人気です。
 
豊かな香りを楽しめる檜枡の8割は、岐阜県大垣市で製造されています。明治23年、名古屋で修行をしていた桶職人が地元に技術を持ち帰ったことによって始まった大垣の枡づくりは、太平洋戦争で街が焼け野原になってしまった後も続けられ、街の復興の一助を担いました。しかしその後、後継者の不足により檜枡の製造業者は減少。2015年現在、大垣市内では5社の製造業者が伝統を支えています。
 

「光升」

このような時代の変化を受け、最新技術を使って地場産業を盛り上げようと地域の異業種業者が集まって新しい商品作りを試みました。メンバーは情報科学芸術院大学(岐阜県・大垣市)が主催するアイデアソン・ハッカソンでチームを結成。檜枡とLED、そしてBluetoothを使った“光る枡”の制作に乗り出します。
 
試行錯誤の末に製品化された「光枡」は、枡の底面にLEDを埋め込み、専用アプリで光を制御するというもの。傾けに応じて光るよう設計されており、ろうそくの炎のような動きのある明かりを楽しめます。
デザインは木を通した光をいかに美しく見せるかにこだわっており、四隅から斜光版で光を拡散させることで、光に木のぬくもりを感じことができます。光の色は専用アプリを使って調整することが可能。シーンに応じてナチュラルな温かみのある色からパーティを盛り上げる華やかな色まで、自在に操ることができます。
 
地域で生まれたIoT製品の画期的な事例として経済産業省の「2015ものづくり白書」でも紹介された「光枡」は、2015年8月現在、商品化のためにクラウドファンディングで支援者を募っています。華やかな光と檜の香りは、日本酒のおいしさを一層引き立ててくれることでしょう。
 
 
##関連リンク
「光枡」の紹介動画
「光枡」がお酒を入れた時にどんな風に光るのか、動画で体験することができます。

 
MAKUAKE
「光枡」が現在支援者を募集しているクラウドファンディングのページ。
募集期限は9月末ごろまで(ただし、早めに終了する可能性があります)。
https://www.makuake.com/project/hikarimasu/
 
大橋量器
「光枡」の枡を製造している大橋量器のWebサイト。
大垣の枡について詳しく知ることができます。
http://www.masukoubou.jp
 
多様な地域企業が集い、「この地域でしか生まれ得ない製品」を生み出す
「コア・ブースター・プロジェクト」・・・情報科学芸術大学院大学(IAMAS)(PDF)

経済産業省の「2015ものづくり白書」の「光枡」紹介部分
http://bit.ly/1MC5gCu
 
文:大川祥子