自動衝突防止やハンドルの自動制御など、自動車の安全運転をサポートする先進運転支援システム(ADAS/アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム)が注目を集めていますが、最近はヘッドライトの機能だけでもずいぶんと進化しているのをご存じでしょうか。

 

600m先まで照らせる高輝度のヘッドライトが登場しているのをはじめ、ハンドルをきった方向に合わせて進行方向を照らす機能や、対向車や歩行者が接近するとハイビームを切り替えて明るさを自動調整する機能など、安全性を高めるための様々な技術が導入されはじめています。

 

先日、ドイツにあるフォードの研究所が発表した最新のフロントライティングシステムは、フロントに搭載した赤外線カメラをベースに、フォグランプの横にある2つの独立したLEDライトがそれぞれ別の場所を照らし出し、カーブや曲がり角など死角になりやすい部分をより見やすくすることができます。GPSからの情報を元に、走行に最適な角度や明るさを自動で算出し、GPSが使えない場所ではリアカメラを使って進路を計算して同様の機能を提供します。

 

 

また、道路標識を認識して、停止サインの場合はライトをより明るくして、車が止まっていることをわかりやすくするといったこともしてくれます。さらに赤外線カメラで、夜間に道路を歩く人や大型のペット、動物を120m先の離れたところから最大8つ同時に認識して、車内ディスプレイに赤や黄色のマーキングで位置を示す機能も備えています。

 

また、Googleやトヨタ、ベンツなどが取り組みを進めている自動運転技術の導入を見据えた技術もすでに開発が始まっており、ヘッドライト製作メーカーの小糸製作所では、路面に矢印を描いて曲がる方向を知らせるヘッドライトを試験的に開発。車がどういう状況にあるのかをより明確に知らせるコミュニケーション機能を提供しようとしています。こうした機能は、夜だけでなく日中の走行でも必要になることから、明るくても見やすい光源の開発も合わせて進められており、よりクルマの安全性を高めることにもつながりそうです。

 
 

##関連リンク
フォードのプレスリリース
ドイツにある研究所で開発が進められている赤外線カメラと連動した高度なフロントライティングシステムについての発表内容。
 
小糸製作所
自動車用照明部品、航空機部品の開発メーカーとして、様々なヘッドライト技術を開発している。
 
Googleのセルフドライビングカープロジェクト
Googleが研究開発を進めている自動運転自動車技術のプロジェクト。現在、カリフォルニアの一般道路で実際に自動車を走らせる段階まで実用化が進んでいる。

 

text: 野々下 裕子