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ホコリを払うような動きをしながら「Wi-Fi飛んでるやん」とボケるお笑いネタが定番になるほど、今やすっかり身近になっているWi-Fiですが、そう遠くないうちに見えるWi-Fiが登場するかもしれません。
 

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その名も「Li-Fi」と呼ばれる新しい通信方法は、LED照明を使ってWi-Fiより100倍も早い高速で安全にブロードバンドを提供する方法として、世界中から注目を集めています。「Li-Fi」という言葉は、Light Fidelityの略で、ドイツの物理学者Harald Hass教授が2011年に開催されたTEDGlobalでLEDを使った通信技術のアイデアを発表した際に作られたものです。教授は翌年にはpureLiFi社を設立してLi-Fiの研究開発を進めていましたが、2015年にエストニアの企業が実証実験を行ったところ、1秒間で1.5GBの映画を18本ダウンロードできるたことが照明され、次世代の高速通信として再び大きく話題に取り上げられるようになったのです。
 
Li-Fiのメリットとしては、通信できる範囲が見えることからセキュリティ性が高く、光のスペクトルの範囲内だけで通信が行えるので混線しないなどがあげられます。また、電波は使用許可が必要ですが、Li-Fiは光波を使っているので許可は不要で、照明器具があるところであれば、どこでも配置することができます。とはいえ、専用の電球と受信機が必要になるので、現在それらをフランスの照明会社と提携して開発しており、2016年中の製品化を目指しているそうです。
 

 
実は可視光通信というだけであればすでに実用化されていて、国内では病院や工場など、無線通信の制約がある場所での採用が始まっています。通信速度はLi-Fiほど高速ではありませんが、通常のLED照明をはじめ、ヘッドライトやテレビのディスプレイ、デジタルサイネージなど、可視光を発するものであれば何でも通信に使うことができるという点で応用範囲が広く、光の色に合わせて異なる変調信号を送るという研究も進んでいます。
 
それほど遠くないうちに大容量で、色によって異なるデータを伝えたり、音楽を流したりすることができる照明器具が普及するのは間違いなさそう。そうした進化に合わせて、新しい照明のアイデアも同時に生まれるかもしれませんね。
 
 
##関連リンク
PureWiFi
Li-Fiの研究開発を行う会社のサイトでは、Li-Fiの技術に関する情報や開発ロードマップなどが公開されている。
 
TEDGlobal 2011「Wireless data from every light bulb」
Li-Fiの考案者であるHarald Haas教授がTEDGlobalに登壇した時のスピーチ。
 
可視光通信コンソーシアム(VLCC)
国内で可視光通信の研究を行う団体が参加する組織で、さまざまな関連情報が公開されている。
 
 
text:野々下裕子