Image by SCANIACC BY-NC-ND
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スウェーデン中央部のイェブレ (Gävle)近くを走るE16という高速道路の地上5.4メートルほどの高さに約2kmに渡って架空の給電線が設置されて、6月22日から2018年までの予定で、電気自動車の実験が行われているそうです。

電気自動車は大型トラックで、屋根にはパンタグラフが装備されています。線路を走行する電車や、一般道で自動車と並走する路面電車、トロリーバスなど、電気で走る車両の歴史は古く、各国に事例が見られます。地下鉄などでは線路に並行して低いところから給電する例もありますが、交通量や歩行者の多い場所では、上からの方が安全です。

 

スウェーデンでは高速道路に架空の電源線を整備して、 ハイブリッドのトラックが充電しながら走行する実験が行われているようです。トラックは同国のメーカーScaniaが、電気系統はドイツのSiemensが開発しました。

架空線の下に入り、パンタグラフを持ち上げて接触させ、電気走行モードにするとトラックは静かに走ります。自動運転車(セルフ・ドライビング・カー)ではありませんから、運転手は手放しというわけにはいきません。けれどもエンジン音が小さいと、運転のストレスは軽減するようです。
 
現在でも、貨物列車は少ない人数で大量の貨物を運搬できていますが、出発地と目的地は線路で結ばれていなければなりませんし、貨物を積み下ろしできる場所も限られています。それに対して、トラックは一般道も高速道路も走行可能で、ピックアップから配送までこなすことができます。顧客(荷主)の要望通りに配送するには自動車が便利ですが、積載率が低い車両で走り回るとガソリンを無駄遣いし、排気ガスを無駄に放出してしまいますし、運転手も大勢必要で、長距離ともなれば重労働です。
 
高速道路を走るバスやトラックが電気自動車になって、パンタグラフから給電を受け、自動運転技術も組み合わせて、少ない人数で大量の貨物を運べるようになれば、運転手の仕事を奪う面は否定できないものの、環境と安全のためには望ましい進歩ということのようです。トライアル結果によっては模倣する国が増えるかも知れません。

 

ちなみにスウェーデン政府は2030年までに化石燃料の自動車を一掃する計画を持っているそうです。

 

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