NASA(アメリカ航空宇宙局)のジェット推進研究所(カリフォルニア州パサディナ)で、人工知能(AI)を使った消防士支援システムが開発されています。その名も「オードリー」(AUDREY)。
 
オードリーという名前の守護天使は、雲(クラウド)の中から火災現場で奮闘する消防士の動きと周囲の危険な状況を見下ろしていて、命を危険にさらさないようアドバイスを伝えてくれます。
 
オードリー(AI)は機械学習で過去の火災を学び、現場の消防士らが予期しにくい炎や化学物質の放出などの可能性を伝えることで、消防士らの生命を守り、活動を支援するそうです。具体的には、現場のデータを分析して消防士からの問いかけに答えることができ、LTE(セルラー網)を介して避難経路などが伝わる仕組みです。消防士のほか、救命士や警察官の協調作業にも応用できるとのこと。開発はNASAと国土安全保証省が共同で行っています。
 
かつてハリウッドのユニバーサル・スタジオで人気を集め、USJでは今なお人気のアトラクション「バックドラフト」は、1991年の映画「バックドラフト」の火災シーンを”再現”したものですが、その熱気から火災現場で消防士たちが直面する危険をほんの少し垣間見ることができます。
 

 
消防士自身も命の危険がある中で、限定的な情報から瞬時に判断することを求められる過酷な現場であることがわかりますね。
 
ただし、オードリーを実際に導入するとなると、消防服のフル装備をした消防士が防火性の手袋をしたままスマホを操作するのは難しいので、ヘッドギアの中に音声コマンドのためのマイクや、情報を表示するためのLEDや画面を用意する必要があるでしょう。
 
レスキュー現場は人力に頼る部分がまだまだ多く、それゆえに危険が多いことも否定できないと思います。かといって、耐火性のあるロボットが人間の代わりにロボ消防士として消火活動や救命活動をしてくれる日は遠く、加えて人間的な判断云々の新たな議論が生まれそうな話です。それより先に、まずはAIに人間の消防士の危険を減らしてもらうことで消防士の活動の安全性を高め、理想に燃えた意志ある若者が離れて行ってしまわないようにする必要がありそうです。
 
 
参考情報