痛みと神経 歯医者さんに灯してもらった心のあかり
2015.10.09
放置してしまいがちな虫歯。私たちは痛みに悩まされると、麻酔をかければ、神経を抜いてしまえば感じなくて済んでしまうのに、と考えてしまいます。なぜ「神経を抜かない」ことが大切なのでしょうか。痛みと神経について考えます。
とうとう歯科に行った。
虫歯があることは気づいていたのだけど、重い腰が上がらなかった。
それを見かねた歯科衛生士の妹が引っ張って連れて行ってくれた。
検査すると、虫歯が3本!
かなり深い虫歯だったので、まず麻酔を打った。
チクッとした後に、唇が膨れた感覚が走り、
それからの治療は無痛だった。
痛くないのはありがたいなあと麻酔の威力に驚いた…だけどなんだか少し違和感。
治療が終わり、歯医者さんがこう言った。
「ギリギリでしたが、神経を抜かずに済みました。本当によかったです」
帰りに、妹にも同じことを言われた。
「お姉ちゃん、神経が残って本当によかったな」
「神経が残るってそんなにいいことなん?」そう尋ねると
妹は勢いよく私に言った。
「当たり前やん!
神経があるから、痛みを感じられるねん。
痛みを感じるから治そうと思うんやん!」
私は、はっとした。
心の痛みに置き換えて考えたからだ。
嫌なことや哀しいことがあった時、心が痛む。
私は何も感じない強い心が欲しいとずっと思ってきた。
でも違うんだ。痛いから気づく。
痛いから治す。
痛みを感じられなければ、逆に取り返しのつかないところまでいってしまうかもしれない。
「痛みを感じる」ではなく「痛みを感じられる」。
これからは、そう考えてみようと思った。
「おしまい」